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(V)『浪華悲歌』(1936年 溝口健二) [ヴィデオ]

山田五十鈴演じる主人公のあっけらかんとした態度のせいか、大阪という土地柄のせいか、家族のために「不良」になったというような悲壮感はない。悲壮感がないゆえに、最後はすきやきを囲む家族にも冷たくされる主人公の行く末は「悲歌=エレジー」しかないことを感じる。まだ、ひとりで強く生きていこうという時代ではないだろう。だが、この次に制作された『祇園の姉妹』には、主人公の決意が明確に表現されており、この作品の最後ひとりで道を歩いていく主人公にはそのようなメッセージがこめられていたのかもしれない。
トーキーとなったこの作品には、すでに長回しシーンがかなりある。すでにそのスタイルが確立されつつあった。そごうデパートの内部など、昭和初期の大阪の町の様子が珍しかった。


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