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(映画)『巨人傳』(1938年 伊丹万作) [映画]

明治初頭に時代を設定したため、ちょんまげの人もいるし、洋服の人も居る。
馬に乗った人も居れば、馬車もでてくる。洋館と典型的な貧しい日本家屋。時代劇の長屋のような町で繰り広げられる銃撃戦、というような対比に眼をうばわれた。
演出では、主人公が警察に追われていると思い込み、小さな娘と小路を逃げ惑う場面、愛し合う二人が再会するシーンの手のアップや影をうつすところ、画面奥に去っていく馬車を追いかける馬をキャメラを逆に手前に動かすなとどいうシーンがとても斬新。
レ・ミゼラブルの翻案ということで、前半は主人公の物語、後半は養女の恋愛と話しが二つに分かれてしまい、前半の主人公の波乱万丈の人生が後半へ来てが影が薄くなってしまった。とはいえ、全編を通して、主人公大河内傳次郎の存在感、敵役ともいうべき丸山定夫扮するのくせのある警察官がしっかり映画を貫いている。
すぐれた脚本とはいえないが、裁判所でかつての刑務所仲間に本人と認めさせるところ、父親に内緒の話を英語でして字幕がでるところ、アルファベットを自然のものにおきかえるところなど、シリアスな物語であってもユーモアが必要である、という姿勢こそが映画だと言いたい。ラストも、なんと時代劇のような設定で、「娘には好きな人形を買ってやるのが一番」とうそぶく主人公のセリフで締めるとは、なんと洒落ていることか。


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