(映画)『ブラックブック』(2006年 ポール・バーホーベン) [映画]
脚本がすごく良くできている。しかし、この映画が傑作となったのは、主人公の描き方だろう。彼女は運命に翻弄される弱い存在というのではなく、かといって自らの意志で道を切り開いていくという強靭な女性でもないのだが、生き延びているうちに結果として、最後に家族を始め、周りの人間を不幸にした元凶に復讐を遂げるという全く新しいタイプのヒロインだ。それを表象しているのは、主人公のまなざし。
ナチだけが悪いというのではなく、その中にも孤独を抱えた男がいたり、戦争が終わってみれば、レジスタンスの人たちもナチ以上にひどいことをやっていたり、と戦争ではどちらが悪いというのでもないというのは、監督の持論か。そして、主人公はいまだ戦いの中にいるという、驚くべきラスト。
齢68にして、バーホーベンの若さはどうだ。汚物にまみれさせるところまでやるとは、物語と関係なく喝采ものだ。故国オランダに戻って、自分の撮りたい映画をもっと撮ってほしい。
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2007-04-16 07:42
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