SSブログ

(B)『アメリカ映画風雲録』(芝山幹郎著 朝日新聞出版刊) [本]

雑誌掲載時にときどき読んでいたのだが、改めてまとまったものを読むと、章ごとにテーマは別れているものの、イーストウッド→セルジオ・レオーネ→ドン・シーゲル→アルドリッチ→キューブリック→コッポラ→ペキンパーの映画を巡って、またイーストウッドへ還ってくるという仕立て。そして最後の章は、いろんな映画を血肉にしているタランティーノで締める。この中へ入れて欲しかった監督はカサヴェテスくらい。
英語の主要参考文献(加えて「索引索引」「人名索引」がしっかりしていることがあたりまえだけれど素晴らしい。)が
たくさん記載されているが、それらの書物で仕入れられた映画が撮られた背景が、著者独特の眼前に浮かぶような文章で綴られる。著者が好む空間の使い方や映画の呼吸がどのようにして生まれたかわかり、未見の映画を見たくなる。二重丸は、アルドリッチの『何がジェーンに起こったか?』『ふるえて眠れ』だ。
長い『ゴッドファーザー』の経緯は、1に続き2まで作られたのは奇跡だったのではと思わせる内容。
タランティーノに関しての以下の言葉が至言。
「彼はひたすら食べた。悪食となじられようが気にかけず、自身の食欲と味覚を信じて食べつづけた。味覚については、ときおり自身を検証しているふしが窺われる。オレは本気で旨いと感じているか。背伸びはしていないか。見栄は張っていないか。大食家や美食家は珍しくないが、その域にとどまらずに料理人の世界へと足を踏み入れていく人はめったにいない。」
もちろん食べ物とは映画のことだ。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(1) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1