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(L)AmamiAynu@伝承ホール(01/31/2020) [ライヴ]

奄美大島の唄者 朝崎郁恵とアイヌの歌うたい三人の合体したグループがアマミアイヌ。朝崎のライヴは随分ご無沙汰だし、OKIとアイヌの歌は一度生で聴きたいと思っていたので、千載一遇の機会。

最初は、OKIのトンコリの演奏と歌で始まり、カピウ&アパッポという阿寒の姉妹グループとレクポ--OKIの配偶者らしい--という旭川の歌手によるアイヌの歌のステージ。
OKIも含めて皆が着ているアイヌの民族衣装は、絵に描いたようというか、正面から二次元的に眺めるべき意匠のように見える。歌もそれと同じで、感情を込めて立体的にするのではなく、繰り返しの妙、言葉の響きの妙を楽しむような音楽。その点で、カピウ&アパッポの交互に歌う掛け合いが特によかった。
OKIによれば、アイヌでは先人そっくりに歌うのではなく、自分独自のものを入れないと歌手として認められないのだそう。
OKIはトンコリをずっと弾いているわけではなく、半分くらいの曲は、打楽器のようにたたいているだけで、アカペラで聴かせる形式。

五曲30分の演奏ののち、いよいよ朝崎登場。奄美とアイヌが合体したといっても、一緒に同じ歌を歌うわけではなく、それぞれの民謡を一つの曲の中で歌い合うという画期的な形式。OKIはもともと亡くなった安東ウメ子と朝崎でこのような企画をやりたかったようで、昨年出たアルバムの中にも、安東の歌をベースにし、朝崎の歌を乗せた曲が収録されていた。
そのうちのひとつ「マキャ マキャ ウポポ」のカラオケがかかり、安東の歌に加え、朝崎が自分のパートとして「豊年節」を歌い始める。OKIはアイヌと奄美の歌が似ていると何度も言っていたが、朝崎の地の底から響くようなリズムが感じられない歌はあまり似ているように感じなかった。安東の声質とは似たものがあるとは思ったが。
リズムが感じられないと言ったが、その歌がアイヌの歌のリズムに見事に乗るところが素晴らしい。「ええうみ」が歌わる曲もあって、この曲は奄美でも一番古い歌で、旧暦8月15日、16日の夜、満月を祝うお祭りで歌われる歌であるというのを初めて知った。朝崎を何度か見たのは20年近くも前になると思うが、全然変わっておらず、仙人のように見えた。
アルバムに収録されていた八曲すべて演奏されたが、中でも「チェジュリハマのカモメ」は、アイヌの歌の力で浜千鳥が飛び立ったという爽快感があった。

アンコールでは、アイヌ勢と朝崎がそれぞれの祭りの歌のようなものを掛け合いで歌い、これこそがまさに歌合戦で、相乗効果が出ていて一番の見ものであった。
時々利用する渋谷の図書館の上に、このような施設があるとは知らなかった。伝承ホールという名の通り、ステージが低めで能や狂言などの伝統芸能用の設計のようで、客席の両側に桟敷席もあった。天井が高く音響的にも贅沢なつくりで、この日は内田直之がミキシングと書かれていたのでさらに良い音で聴けたということになる。それも含め、貴重なものを見聴かせてもらった。
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