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(V)『悪の華』(1961年 井上和男) [ヴィデオ]

チンピラ二人がさらってきた女は、大金持ちの娘だった。かくまってくれるよう頼んだバアのマダムが曲者で、身代金をせしめたのち、殺し屋兄弟にチンピラ二人を殺させる。(何と佐藤慶がチンピラ役)非常な殺し屋である弟が、娘に恋してしまったせいか、神戸まで連れて行ってしまうのだが、それを警察につきとめられ、内輪もめもあり、結局娘以外、悪い奴はみな死んでしまうという極端な展開。(刑事もひとり巻き添えをくう。)
脚本も書いている井上監督は、松竹ヌーヴェル・ヴァーグ作品を意識してか、冷たいハードボイルド世界を志向したのだろう。不気味な殺し屋と、拉致されているだけでセリフがほとんどない娘を中心としたり、運転手を殺す場面を見せないなどの語り口にそれを感じた。
しかしながら、運転手の死体を写したり、舞台を神戸に移すあたりには徹底しきれなかった部分があった。最後山に入るのではあれば、軽井沢で話を展開させた方が、映画の雰囲気としてはよかったろう。
ほとんどセリフもなく、監禁されているだけでは、娘役の桑野みゆきも、魅力を発揮するところがない。唯一、夕焼けを見ながら何か考えている風の顔つきには、悪に魅せられたとでもいうような意図がありそうだったが、殺し屋と心が通じ合ったという描写がなかったので、余韻は残らず。
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