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(映画)『刺青』(1966年 増村保造) [映画]

この話も『曽根崎心中』のように商家の使用人と娘の出奔話だった。しかし、主人公が最初から気の強い娘で、男が言うなりにつき従っているという構図。悪い奴に騙されて、背中に刺青を入れられ、芸者屋に売り飛ばされてしまうのだが、それを逆手にとる形で、売れっ子芸者になる。
背中の蜘蛛の不気味さと妖艶さは、やはり一見の価値ありだが、刺青を入れたことで性格が変わったというようには見えなかったところが若干弱い。
男が殺されそうになって、逆に相手を刺し殺す雨中のもみあい場面から始まって、この作品の格闘場面は、どれも容易に決着がつかない。登場人物をできるだけ少なくして、ひとりひとりがジタバタ生きているところを見せる印象。
それまで東京撮影所専門だった増村監督が初めて京都で撮っただけのことはあって、西岡美術と宮川キャメラが、最後の悲惨な情景までも様式美のように見せていた。
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