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(映画)『恋人』(1960年 中村登) [映画]

信州--北アルプスの近くなので大町あたりの設定か--から、大学受験で東京へ出てきた若者4人組のひとりと、東京のお嬢さまが、自然につき合うようになるという設定は少々無理があって、さらに田舎へ遊びに行って冬山に登るのはかなり強引。
しかし、その結果、男が彼女の兄--大泉滉が珍しくまっとうな役--を怪我させてしまった責任を感じて、ひとり肉体労働に身をやつす、主人公はやっと彼の気持ちがわかって彼を捜すという流れには、若者らしさがよく出ていた。(最後彼女は九州行きの電車に乗って行ってしまうし。)
若者二人の恋愛が話の主ではあるが、もう一つの恋愛、夜バアで稼いだお金で、昼間身寄りのない子の施設を運営している女性と、若者たちの先輩である小児科医の恋愛の方がより心に沁みた。岡田茉莉子の力を思い知った。
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(V)『実録桐かおる―にっぽん一のレズビアン―』(1974年 藤井克彦) [ヴィデオ]

桐かおるとは、ストリップ小屋でレズビアンショウをやって人気を博していた人らしい。冒頭、京都の千中ミュージックで実際四人で演っている様子が写される。短髪で旅回りの座長のような風情のある人。
彼女のドキュメンタリーのような体裁をとっているが、京都で行きつけのバアのマダム--中島葵--と、桐に見込まれて仲間入りする若い女--芹明香--を登場させて、創作ドラマ部分を入れている。この二人の部分がしっかり見せてくれるので面白い。
カラーで始まった映画が白黒になったら、場面の途中から色がついたりという工夫をした意図がわからなかったが、白黒場面--芹が河原で男を誘う場面など--が美しかったのは、安藤庄平の技。
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(V)『妻三人 肌くらべ』(1973年 林功) [ヴィデオ]

小沼監督の『狂乱の夜』に続く「妻三人」もの第二弾。主役二人は同じで、内容としては「妻二人」の方がふさわしい。(原英美は『死んで貰います』と同じ服を着ていた。)
二人の夫がそれぞれの妻と浮気をし、夫同士が謝り合う面白い設定から始まる。入れ替わった二組が旅行した先も同じで、知らずに同じ部屋の中で交わっているのは、まさにスワッピングの画。それを覗き見た若い夫婦が加わって。。
公金横領犯だった若い夫婦は、二組の夫婦に触媒ような効果をもたらし、四人が連帯を強める方向となる。最後、元の鞘に収まる着地は見事だった。林監督作品はどれも楽しい。
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(V)『性豪列伝 死んで貰います』(1972年 林功) [ヴィデオ]

性が強すぎて二人の夫と離婚歴がある女性の前に現れた主人公、張形馬太郎。やはり満足させることができなかったが、彼は別れずに精進の道を歩む。
それを横目に、妻は友だちと近所の家政婦の三人で、町内の男あさり。三人の女性のあっけらかんとしたところが楽しく、彼女たちに試される男がことごとくだらしないところが可笑しい。肉屋の主人に牛肉にソーセージを巻かせたり、くじ引きでアソコの毛を抜いて長さを比べたり。
「性豪列伝」の題名で林監督は四作撮っているが、人気番組だったことがよくわかる。精進した主人公が三人を次々に満足させる最後は、コマ落としで喜劇的に見せるが、張形を使ったのでは修業の成果とは言えない。。
最後は、女性三人が馬太郎を追っかけて、往来を真っ裸で走るという荒技。通行人止めをしたとしても、今は無理だろう。
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(V)『秘書とお医者さんごっこ』(1999年 池島ゆたか) [ヴィデオ]

『巨乳秘書 パンストの湿り』
昼はやり手の出版社社長だが、家に帰ると毎日妻と交代で幼児になって甘えながらセックスをするという変態主人公。池島監督の分身のような北千住ひろしが、戯画的主人公を面白おかしく見せ、最後には狂ってしまうところまで演じ切る。子どもに嫉妬するなんてあるのだろうかと見ていたが、最後には全然荒唐無稽な話とは思えなくなった。
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(B)『路上の映像論――うた・近代・辺境』(西世賢寿著 現代書館刊) [本]

著者は元NHKで、この本は、ディレクターとして手掛けたドキュメンタリーの内容を再現したものとも言えるが、文章で再訪したと言う方が適切だろう。
著者のことは知らなかったし、もちろん番組も見たことがない。しかしながら、その題名はことごとく我が琴線を刺激するものばかり。中でも「全編五時間二〇分に及ぶ」という中里介山の『大菩薩峠』についてのドキュメンタリーは、是非見てみたい。(今回も橋本本で『大菩薩峠』について読んだばかりという偶然)
また、この本には「辺界に響くうた」と題されたCDが附属されていて、文章中に出てくるさまざまな民謡が収録されていて、実際に音が聴けるという仕掛けとなっている。多くは正式にレコーディングされたものではなく、ライヴ収録された貴重なものが多く、なかでも、石垣とぅばらーま大会の一般人の歌と演奏や、里国隆が街角で演奏したものを録った音源に感銘を受けた。
最後の二人の詩人についての文章も、特に金時鐘(キム・シジョン)については興味深かったが、「うた」という切り口からは、若干離れてしまっている感があった。
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(V)『人妻背徳女優~ふるえる肉体~』(2001年 橋口卓明) [ヴィデオ]

『人妻浮気調査 主人では満足できない』
女が、不倫相手の妻の調査を探偵に依頼する。離婚を早める証拠を握るためとの説明で、たしかに謎の雰囲気がある彼女は、AV女優や売春をしていた。
探偵の一人称的に進むので、探偵が宗教勧誘を装ってAV撮影現場を覗くのはうまかったが、ホテルの部屋の中の情事も見せない工夫をしてほしいところ。
また、探偵を中心に話を展開する必要があるため、未亡人となった女が彼を家に引き込むという不自然な展開もあった。
二転三転する脚本はなかなか頑張っていたが。。
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(V)『ナース姉妹 やさしく愛して』(2003年 佐藤吏) [ヴィデオ]

『ナース姉妹 桃色診察室』
姉は総合病院、妹は個人病院で働く看護師。姉は、恋人から結婚を申し込まれるが、七歳の時に父親が離婚していなくなったことを引きずっていて、家庭を持つことに踏み込めない。一方、妹の方は、姉の家に居候しながら医師と不倫をしているというお気楽な性格。
その二人が、それぞれ悩みを解決して、新しい一歩を踏み出すという姿が、丁寧に描かれていた。ずっと会っていなかった父親が現れて、子供のころのボール投げの続きをするという感傷的な演出もまあよしとしよう。
姉妹を演ずるのは、本当の姉妹である佐々木ユメカ・日記姉妹というのも見どころ。
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(V)『六本木令嬢 ふ・し・だ・ら』(1987年 四ノ宮浩) [ヴィデオ]

バブルに向かう世間で、六本木を舞台とするホテトル嬢たちを描く。
広くて洒落た内装のマンションに住み、電話は常に留守番電話で、部屋に居てもでない主人公。小林政広の脚本は、ことさらドラマチックにしないで、主人公および周囲の女性たちの様子を淡々と描いて、新しい彼女たちの心の中をのぞこうという狙いのようだが、対比されるはずの浮かれた世間が全然活写されていなかったし、主役はともかくとして脇の人たちが学芸会みたいで。。
主人公が結局普通の恋愛を選んだという流れも面白くなかったし。
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(V)『淫獣 天井裏の覗き魔』(2003年 深町章) [ヴィデオ]

『天井裏の痴漢 淫獣覗き魔』
深町監督お得意の戦後もの。現在の時制は昭和37年--キューバ危機がラジオから報じられる--で、そこから昭和24年を振り返る形。
男ひとりに、妻、従妹、家政婦の三人の女性が暮らす家が舞台。題名となっている天井裏から覗いていたのは、正体不明の病気の男ではなく、家政婦だったと明かされるが、物語上あまり意味はない。
夫と従妹が密通をしていて、結局この二人に天誅が下ったという展開。残った女二人が、13年の時を経て、互いに求め合っていた気持ちを成就させるという意外な流れだった。
戦後、和室、雰囲気はしっかり出ていた。

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