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(V)『1987、ある闘いの真実』(2017年 チャン・ジュナン) [ヴィデオ]

題名が表しているように、1987年1月の警察による--赤狩りを専門とする南営洞と呼ばれる組織--学生リンチ致死が明るみに出たことをきっかけとして、学生たちのデモが大きくなり、民主抗争にまで発展する半年間の状況が描かれている。日付と場所を字幕で見せる実録ものの手法。
ひとりの人物に焦点をあてるのではなく、それぞれの立場で正しいと思ったことを貫く何人かの人々が登場し、見ているものは、政権からの圧力に悔しい思いをし、厳しい監視にハラハラしながら、彼らを応援することになる。
中でも砂塚秀夫に似ていた看守がよかった。捕まって拷問を受けても口を割らなかったが、家族の写真を見せられて、重要人物の場所をとうとう教えてしまった彼の気持ちは、痛いほどわかる。
事実を並べるだけでなく、若い二人の気持ちの通い合いも入れ込む娯楽性も優れている。運動靴を小道具として叙情を出す。
南営洞の親分の強烈なところが政権の巨大な力を象徴しているが、脱北者である彼にも自分が貫くべきことがあるのだという意志は見て取れた。
翌年のソウルオリンピックを成功させるためという当時の状況は、今の日本のことを考えさせられる。
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