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(V)『女王陛下のお気に入り』(2018年 ヨルゴス・ランティモス) [ヴィデオ]

どこかで見たことがあるような話だったと思ったら、江戸時代の大奥での女たちの権力闘争だ。この話は、殿様に相当する人が女性ではあるが、体の魅力で籠絡するのは変わらない。
大奥ものの場合は、女同士表向きは節度を持って対峙し、裏で権謀術数をめぐらす形式となるが、この映画は、赤裸々で、性に関することも平気で口にする。なので、女王の寵愛を受けていた侍女が衝撃をうけるのも--心臓の鼓動のような音楽が前の場面からずっと鳴っていた--女王と新人が裸で寝ているところを見るという直截的なものとなる。王宮という場であれば、奥ゆかしさというものが、もう少しあっても。
映画の舞台は、ほぼ王宮内に限られ、広角レンズを多用し、広さや豪勢さが強調される。フランスと戦争している場面などが一切登場しないことで、庶民の人生--最後に出てきたたくさんのウサギはそれを表しているのだろう--を左右する密室での決定が、偉い人たちの気まぐれで決まる現実を見せつけられる。
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