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(V)『侠花列伝 襲名賭博』(1969年 小澤啓一) [ヴィデオ]

「横山実カメラマンと照明の藤林甲のコンビは、日本一女を美しく撮る技術を持っていた」とは小澤監督の弁。確かに、前半芸者時代の主人公を、ソフトフォーカスで撮り、同じ画面に入っている男との対照が見て取れた。(後半、組長となってからは、凛々しさを強調するため、撮り方を変えているように見えた。)
また、小澤監督が画作りに力を注いでいる場面は多数あって、例えば汽車が走って行く手間の草原を男が数人のヤクザに追われている。またそれを汽車から主人公が見ている場面を彼女の後ろから撮っている画や、女同士の花札勝負の場面では、片や障子、片や屏風画を背景として、壺を振るところを正面から捉える様式美など。最後の討ち入り場面では、大量の雨を降らせ、すべて相手をたたき斬ったあと、二人の男が相次いで水たまりに斃れる徹底ぶり。
芸者だった主人公がヤクザの組を継いだり、足を洗った男が躊躇わずドスを持ったりというあたりに説得力がなかったのは脚本のせいとしよう。
この頃芸名を変えたばかりの梶芽衣子が、この作品ではすでに70年代の活躍を予見するように、貫禄があったのが眼を惹いた。
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