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(映画)『初恋』(2020年 三池崇史) [映画]

開巻から場面がいろいろ変わり、登場人物が次々に紹介される語り口。ひととおり紹介が終わって題名が出る。ここまで約15分。地元ヤクザと中国人組織の諍い、それも舞台は歌舞伎町と、90年代の三池映画が戻ってきたような気分。(ネズミが後ろを走っていた!)
俳優たちのアクションの速さが、映画の展開を加速する。さらに刑務所にいた幹部--刑務所のことを「寄せ場」というのは最近の流行?--が、いみじくも言うようにスマホという便利なものがあるので、目指すものの場所がすぐわかって経緯が省かれるので、話が速い。笑いもしっかり入れつつ--車の正面ガラスに飛び乗ってくる場面や、聴いている音楽がハリクヤマクだったために、幻覚の父親がパンツ一丁でカチャーシーを踊ってしまうところなど--、一気にクライマックスに向かう。
必死に逃げる悪徳刑事が、監視カメラに「何見てんだよ」と悪態をつく場面がサイコー。彼やヤクザたちが強烈すぎて、主役のはずの男女の存在が弱くなってしまったという不都合が生じてしまったが、その分最後に時間を残して、二人の立ち直り場面を描いていた。アパートに帰っていく二人の姿をロングで捉える最後は、余計な説明の必要もなく、二人の状況がわかる。映画の題名はここで出すべきだった。
立体駐車場から飛び出してパトカーを飛び越える場面をあえてアニメーションにしたのは、プロデューサーのジェレミー・トーマスが海外市場を考えてそうしたのかも。それがなくとも面白い漫画のような映画。
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