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(V)『獣の戯れ』(1964年 富本壮吉) [ヴィデオ]

「けもの」かと思っていたら「けだもの」と読む。けだものとなると登場人物の三角関係が理性を超えた異常なものに思え、見るものはそれを期待するのだろうが、観念的な話ではあっても、扇情的だったり変態的ではない。(蚊帳越しの抱擁は官能的だった。)
富本監督は、白黒画面とし、登場人物を写すキャメラを煩雑に切り返すことで、緊張感を高く保つ。奥さんを真ん中にして三つ並んだ墓が象徴するように、彼女の罠にはまった二人の男という話にまとめられていたが、しっくりこなかったのは、三島の原作は、若者が男になれるかという話だからではないか。奥さんは、母親のような位置づけで、夫を殺すのもそのための儀式という位置づけか。
いずれにせよ観念的で、映画にするには難易度が高かった。
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