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(映画)『37 Seconds』(2019年 HIKARI) [映画]

主人公は脳性麻痺の女性。車いすで生活をしている。冒頭、お風呂に入って食事をする場面をみて、母親の大変さに眼を奪われてしまうが、騙されてはいけない。この場面は、母親が主人公を過保護に扱っていることを示すためのものだった。(母親が肉を切ってあげる場面も余計なお世話だったことがあとでわかる。)そう、この映画は、自分の力でなんでもやってみたいという主人公の成長物語なのだ。(それと障がい者の子を持つ親に我が身を振り返らせる映画。)
彼女はアイドル漫画の助手の仕事をしているのだが、実際に作品を描いているのは彼女で、漫画家にいいように搾取されている。自作を売り込むために、エロ漫画を描こうとする設定が秀逸。編集長に妄想だけで描いた漫画はダメと一蹴される。この直球でものを言う編集長が彼女に指針を与える重要な役割を果たすのだが、エロ漫画出版社の編集長が女性というのを含めて、女性監督であるHIKARIの色がでているように見た。
そこから彼女が性を経験しようと歌舞伎町へ行くことによって、新たな世界が開けてくる。この映画、キャメラは常に彼女の眼の高さにあって、決して彼女を見下ろしたりしない。見ている者も彼女と同じ目線で、彼女の冒険を見守ることになる。
さらに余計な説明しないところも、この映画の素晴らしいところではあるが、それにしても電車に乗るようにタイに行ってしまったのは驚いた。このタイの場面では、一緒に付いていった福祉タクシーの若い男が、一切余計なことを言わなかったのがよかった。彼との情交場面があるべきだったとは思ったが、それは欲張りすぎか。
物語は彼との恋愛話には流れず、母親との関係修復、いや新たな関係構築を見せて終わる。時折挿入された夜景場面は、主人公が街に暮らすひとりであって、特別なものではないことを教えてくれる。主役の佳山明に感服した。
PCで見ていたAVに出ていたのはよくわからなかったが川上奈々美だったようだ!
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