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(映画)『浪人八景』(1958年 加藤泰) [映画]

佐々木康監督の代打として抜擢されたという加藤監督。会社の期待に応え、カラーの主番組をそつなく演出してみせた。(「おはぐろ」が登場する時代劇。)
実際に箱根でロケしたわけではないだろうが、海の見える峠を歩く主人公のもとへ助けてくれと男が飛び出してくる冒頭は「大菩薩峠」を思わせる。しかし登場したのは剣豪ではなく女。彼女と知り合ったことで、主人公が江戸での事件に巻き込まれ、それがやがて彼自身と関係のあるものだったという話はなかなか面白い。
女性に安心感を与え、いざという時に強いという主人公のアップを存分に見せる。右太衛門御大も満足だったろう。
加藤監督は、まだローアングルで撮っていないが、立ち回りの演出は工夫していた。主人公が雨傘を片手に斬り合いをする殺陣は、姫の手を引きながら戦うクライマックスへとつながる。
そして締めもまた帰り道の箱根。
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