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(V)『青春ロマンスシート 青草に坐す』(1954年 野村芳太郎) [ヴィデオ]

主人公である高校生の恋愛だけでなく、結婚に失敗して家に戻ってきた姉の恋愛、さらには愛人が居た父親と母親の恋愛と、各世代の「ロマンス」が描かれている。
沢村勉の脚本は、特に前半、早口のセリフにのせて、話題を連関させながら場面を転換させていく語り口が冴えていた。それぞれの年代の恋愛が、最後にはみな気持ちよくまとまった。
ハイカラな雰囲気に合わせてか、美空ひばりの主題歌--「お針娘ミミーの日曜日」--もシャンソン風のワルツ。それに合わせて学生たちが躍る。
『春の悶え』というスウェーデン映画を母親と姉が見て、今どきの若者はこんなことをしているのかと驚く場面があったが、たしかに男女が裸で抱き合っている姿は、世間に衝撃を与えたことが容易く想像され、当時の話題をそのままとりいれた風俗描写なのだろう。
日活に移籍する前の関西弁をしゃべりまくる北原三枝も見どころ。
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(V)『その男、エロにつき アデュ~!久保新二伝』(2011年 池島ゆたか) [ヴィデオ]

久保新二一代記。しかし、現在の久保を本人が演じるとなると、あまり恥ずかしいことは描けない。
そうは言っても、旅回り一座で、やる気を失った女優を立ち直らせるために、舞台で実際に交わるという盛り上がりから、一転、妻がそれを見ていて、離婚されてしまうというクライマックスとも言える挿話など面白い。冒頭の高校生の時付き合った女性と、今の久保が風俗店で再開するという感傷的なドラマを入れるところは、脚本の後藤大輔らしさ。
見どころは久保人脈と思われる多彩な出演者で、里見や日高を始めとする大勢のピンク映画女優
だけでなく、インタヴュアーとして村西とおるまで出演していた。
DVD特典映像の「生前祭」に集まった面々も、さらに豪華--若松や滝田が来ていた--で、なんと三上寛も歌を歌ったようだ!
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(V)三上寛『ピーターの涙』『止』付属DVD(2019年) [ヴィデオ]

『ピーターの涙』アルバムは、2018年3月4日に録音された--藤澤孝雄との最後の録音--のに、なぜか昨年発売されず、今年8月に出た。付属DVDは、その際--3月9日--Chaotic Noiseで行われたギターを持たずしゃべりだけのステージを録画したもの。1時間17分。
これを見てアルバム題名と歌の内容がわかった!収録されているすべての歌が、ピーター・ヒッグスという人の素粒子理論を念頭においたものだった。「らもの涙」という歌があるように、ヒッグスの素粒子理論は、最初中島らもから聞いたのかもしれない。
もう一作の『止』は、二か月おいて10月に発売となったが、こちらは今年平成最後の日に録音されたもの。収録されている曲は、高知を始めとして旅先での体験が基になっているような印象を受けた。題名から類推するとこの作品で高知録音はおしまいという意味かとも思ったが、DVDを見るとそうでもなさそうだ。
付属DVDはやはりChaotic Noiseで7月30日に行われた「三上寛『音楽と人生』第一章」というトークショウを収録したもの。1時間15分。自分の音楽に影響を与えたものを順番に語っていくという趣旨で、今後も続くようだが、ジャズ音楽家との交流によって、音がしゃべる、音が言葉になることを学んだというのが興味深かった。また、自分の書いた詩が現実になるという話も。
両DVDとも、基本的に据え付けカメラを回しっぱなしにした映像で、『止』に至っては50分過ぎから映像がなくなり、三上の変な笑い顔の写真とにらめっこしながら聴くというものであった。。
これら二枚に加えて、もう一枚2018年3月の非常階段とのライヴを録音したアルバムも発売になっている。いずれ買うつもりではあるが、今のところこの二枚のオリジナルアルバムを堪能したい。
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(V)『セーラー服百合族2』(1983年 那須博之) [ヴィデオ]

二作目は夏の軽井沢が舞台。主役二人はアルバイトに来ていて、男子二人は別荘に滞在。
四人とも同じ役者で話が続いているものの、彼らの関係は普通の友だちになっていて、主役二人が新しい相手を見つける話。
ただ、ひとりは妻ある酒屋のオヤジ--粟津號!--で、もうひとりは、金持ちの大学院生--内藤剛志--と大人の世界に足を踏み入れるも、どちらもうまくいかなかったという新しくもない話。ガリ勉くんだけがいい目をみたというオチがつく。
主役二人がお互いに小憎らしいことを言い合う会話の呼吸が絶妙で、二人の息がぴったり。
屋根のない車に乗って、岡持ちを投げ捨てる場面に吃驚。
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(V)『セーラー服百合族』(1983年 那須博之) [ヴィデオ]

舞台は湘南。高校生は江ノ電で学校に通う。
前半、特に目まぐるしく切り替わる画面転換によって、那須監督が主役二人に新鮮な印象を与えたいという意図が見て取れた。冒頭、二人が夜のプールをハダカで泳ぐ場面は、物語とは関係がなく、新しさを強調している。背後に流れた主題歌--ピンナップスというグループ--の音も洗練されたポップス。
一方で男子学生の方は、遊び人とガリ勉の二人という旧来式で、もう少し工夫はなかったかと思うが、引き立て役としてはこんなものか。
70年代の桃尻娘たちが、80年代は女同士で肌を触れ合うことも普通な百合族に変化したという仕儀。ぴったりな女優を二人、よく見つけてきたものだ。
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(V)『ワイセツ教師 ~制服を汚せ~』(2001年 池島ゆたか) [ヴィデオ]

『ザ・痴漢教師4 制服を汚せ』
病気がちの校長の後釜を狙う教頭と腰巾着の教師が、校長に信頼されている教師を追い出そうとする。大学の推薦をエサにして女子生徒に協力を頼んで、電車で触られたと大騒ぎをして。。
教頭一派を戯画的に描いているのに対して、真面目な教師の方は、喜劇にしていないところがミソ。しかし彼とても、同僚の女教師と浮気をしていて、完璧な人ではないところが逆によかった。
その関係は、最後まで二人の秘密として保たれ、涙をのんで別れるに二人に、しんみりとしてうまくまとまった。
池島組のスタッフ総出で、学友たちを演じていたようだが、この時代はまだ学校ものをやる余裕があったということだ。
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(V)『秘書の欲望 ~私はソレを我慢できない~』(2005年 池島ゆたか) [ヴィデオ]

『肉体秘書 パンスト濡らして』
家政婦や事務員となって働いた先で、お金を盗んで逃げる主人公。実は、精神的な病に付け込まれて、悪い男女に操られていたのだった。
新たな勤め先は咲坂弁護士事務所。どこかで聞いたことがあるなと思っていたら、佐々木麻由子演じる松宮女探偵が出てきてわかった。『人妻狩り』に出てきた二人だった!こちらの作品の方が先なので、脚本の五代暁子が、かつて恋人同士だったという設定の本多・佐々木を気に入ってまた使ったのだろう。
この作品では、弁護士が真剣に主人公に惚れてしまい、彼女を無事助ける結末は、そのまま結婚となりそうな雰囲気だった。主人公を操る怪しい男女対、弁護士・女探偵という図式が面白かった。
冒頭、特別出演の肩書で、後藤大輔監督が、津田篤と二人で刑事役で登場するのも見どころ。(着ている複式釦の背広は泡時代のものに見えたが。。)
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(B)『内田裕也、スクリーン上のロックンロール』(内田裕也著、平嶋洋一編集 キネマ旬報社刊) [本]

内田裕也から話を聞くには、このような形式ではないと難しいだろう。内田のことが好きで、出演作品をよく見ていて、周辺資料にも目を通したうえで、本人を乗せられるインタヴュアが必須。そして話す内容をできるだけそのまま記録する。(飲み物の注文も含めて。)
こうしてみると、80年代とりわけ後半、内田が日本映画に残した功績は相当大きかった。本人曰く「ノッていた」というように、役者としての活躍だけでなく、制作にまで関わり、沈滞していた映画界を賑わせた。
個人的には『エロチックな関係』と『エロティックな関係』、『餌食』と『魚からダイオキシン!!』のリメイクを並べて論じた部分に一番興味をそそられた。
亡くなる前にこのような本が企画されていたことに感謝したい。本人は完成品をみていなくとも、完璧な造りに草葉の陰で喜んでいるだろう。巻末に集められた注釈も丁寧な仕事。(この時代の注釈は個人的には不要であったが。)
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(V)『おんなともだち』(2005年 佐藤吏) [ヴィデオ]

『ハードレズビアン クイック&ディープ』
自分がレズビアンであったことに目覚めた主人公が、それを公表し、男との結婚を反故にして自立した人生を踏み出すという話。十年以上も前の作品にしてこの主題は新しいせいか、婚約者の理解の示し方など、教育ヴィデオのような部分もあった。
普通のOLという主人公に、奔放な短髪の女性を対置したことで、主人公が覚醒し惹かれていく様に説得力が増し、嫉妬や別れを経て成長していく姿がうまく描かれていた。
最後の、空中歩道での偶然の出遭いは、言葉は交わさなくとも互いに相手も思いやる気持ちが出ていて、とても爽やかな気分を残す。
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(映画)『i』(2019年 森達也) [映画]

今、望月衣塑子ほど魅力的な被写体はそういないだろう。彼女を撮るだけで、面白い映画が成立してしまう。森監督は、それに素直に乗っている感じ。
『新聞記者』を見たせいもあってか、初めて彼女の映像を見るにもかかわらず、前から知っている人のように思えた。逆に籠池夫妻や前川氏など、森友・加計の関係者の今の姿のほうが新鮮だった。世間ではもう忘れられたようなことも、彼女はあきらめずに取材し続けているのは立派。それに対して、木で鼻を括ったような回答しかしない官房長官や大臣や、質問中妨害する広報担当者の横暴ぶりときたら。
それでも、望月=善、菅長官=悪という個人対個人の対決に還元してしまうように見えるアニメーションの挿入は止めるべきだった。ジャーナリストの立場が会社より優先するという「個人」が主題としても、彼女が疑問をぶつけているのは政権に対してなのだから。(一番上の個に原因があるのも確かだが。)
首相官邸にカメラを持ち込もうとして、結局何もできなかった森監督自身の姿をわざわざ入れたのは、主役を際立たせるため?
この映画はこれで終わらないだろう。このまま撮り続けて『i2』を作ってほしい。
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