（V）『恋するオヤジ ビンビンなお留守番』（2015年 池島ゆたか）

『おやじ男優Ｚ』を老人にしたような話。若い女性に「おじいちゃん」と呼ばれる70代が主人公なので、オヤジという題名はふさわしくない。
三人の子どもに冷たく扱われる主人公の前に、優しい若い娘が現れる。彼女は最後までおもて裏のない良い性格であるところが『おやじ男優』と同じ。今回は彼女も落ち込んでいるので、おじいちゃんのお陰で失意から立ち直れたという相互の部分がもっとほしかった。
青酸カリや錠前破りなど、いかもに後で使われそうな伏線が唐突に出てくるが、それらの使われ方はななかなかうまく、見事ハッピイエンドとなってほっとした。
池島監督は、若い娘に手を振らせるのがうまい。オヤジをそれを見て胸をときめかせてしまう。