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(V)『復活』(1950年 野渕昶) [ヴィデオ]

時代は戦争に向かう昭和十年代。「若」と呼ばれる子爵が、家に立寄った際、可愛い女中を手籠めにしてしまう。翌朝、彼女の手に百圓札を握らせて、何事もなかったかのように去っていく。この百圓札を彼女が最後まで持っているところがミソ。
子を孕まされた彼女は、次に彼が帰って来た時、大雨の中、汽車に乗っている彼に会いにいく。車内で芸者を侍らせて楽しそうにしている彼と、外でずぶぬれになっている彼女の対比が、彼女のみじめさを強調する印象的な場面。
この非道い男を小林桂樹に演じさせている意図は、兵役を終えて帰ってきた彼が、改心して、子爵の地位もも捨て、彼女のために尽力するようになるからだ。
この作品は、基督教を下敷きにしていて、肝となるのは、主人公が悩みながら、自分の進むべき道を模索するところにある。一旦は、彼のまごごろを受け入れて結婚する道を選ぶかと思われたが、最後は、伝道師たる尊敬する先生に従って、北海道行きの船に乗ってしまう。
船の上で、百圓札を破ったのは、彼の思い出とともに古い自分を捨てたということ。安易なメロドラマ的結末にならなかったところに感心した。
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