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(V)『させ子の同棲日記』(2018年 竹洞哲也) [ヴィデオ]

『大人の同級生 させ子と初恋』
女性の脳内音声で始まったので小松公典脚本かと思ったら、深澤浩子だった。(たしかにそのあと脳内音声はなかった。)脳内音声の主が主人公であるはずで、たしかに物語は彼女が高校の同級生だった男のことが好きで、今でも--今や別の同級生と結婚している人妻だが--その気持ちが続いているというのが柱となっているのだけれど、彼女の出番はそれほど多くない。一方で、そんなこととは露知らず、邪魔をする形となってしまう同級生の女性の方が、主人公らしい扱いというのが面白い。
東京で失恋して、田舎へ戻って来た彼女が、父親と暮らす元彼氏が気になって、住み込んでいろいろ世話を焼く。彼女の自然体な様子と、農業をやっている--ネギの収穫!--田舎の人たちを見ているとほっとする。
男の気持ち--彼も主人公のことが好きだった--もわかった上で、身を引いて都会に帰っていく彼女の姿には、淋しさを跳ね飛ばす元気があった。
竹洞監督の青森ものは、ここから始まったか。
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(V)『武士道無残』(1960年 森川英太朗) [ヴィデオ]

主君が若くして死んでしまい、同年代の若者が初七日の内に殉死を命ぜられる。彼が不憫だと、嫂が彼を男にして、切腹の場に送り出すが、その時幕府から今後殉死を禁ずるとの命が届く。
意味のない規則に縛られた武士の不自由さと、主人公と嫂の恋愛がうまく絡めてある。最後まで高い緊張感が持続されているのは、俳優のうまさと、引きの画を組み合わせて、空間を見せるようにしていたから。二人が抱き合う場所が、松が植えられている浜辺という屋外というのも工夫されていた。
切腹時の等間隔に鳴り響く音を始めとする、真鍋の音楽もそれに貢献していた。
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(配信)矢野絢子@APIA40(04/26/2024) [配信ライヴ]

新アルバム『In Lake'ch』レコ発ライヴ。「インラケッチ」とは、古代マヤ文明の挨拶で、「あなたはわたし、わたしはあなた」という意味があるそう。
グランドピアノに座り、最初の曲はアルバムにも始めに入っているインスト曲「よろこび」。この曲は歌詞も書いたそうだが、録音スタジオ--高崎は群馬県です--のピアノの素晴らしい音に感動して、歌を入れなかったそう。
今回のアルバムは、9名のミュージシャンを招いて、それぞれとのデュオで録音。ライヴでは、そのうち三人を呼んで、三曲ずつをそれぞれと演奏した。
まずは、電気ギターのさいとうりょうじ。彼の弾くブルースっぽい音がぴったりな「やさしい檻」。矢野絢子得意の三拍子。
他に二曲演奏したのち、パーカッションの見谷聡一に交替。二人が喋っているところを、二画面分割で見せるとは、さすがアピアの配信は力が入っている。
見谷と演った曲は、どれもノリがよかったが、特に「delight」は楽しくていい曲だった。作曲はトランペットの黄啓傑。
休憩後は、いよいよ御大梅津和時登場。御大はいつになく、気さくにしゃべって場をなごませる。
突飛な音を入れるところは、やはり独特で、また、サックスだけでなく、名曲「Blue Blue Bird」では、ティンホイッスルを吹いていた。
梅津とも三曲演奏したのち、他の二人がステージに戻って、三人で三曲。「ダニーボーイのうた」は、みなが気ままな音を出し、フリージャズのような演奏だった。「みゅみゅみゅ」は締めの曲としてふさわしく、しっとりと終わった。
アンコールは、発売20周年だというデビュー曲の「てろてろ」。三人が加わるこの日限りの貴重なヴァージョン。
前回のアルバムから4年ぶりと、矢野にしては時間が開いてしまったが、疫禍を経て、自分でも予想のつかない方向に成長した新生矢野絢子が堪能できるアルバムとなった。(まだ聴いていないけど。)

1. よろこび 2. やさしい檻 3. 猫白宣言 4. なまけもののうた 5. ミンナゲンキカ。 6. バラバラ 7. delight /8. Contrast 9. Is love light or heavy? 10. Blue Blue Bird 11. ダニーボーイのうた 12. あいからいちばん遠い場所から 13. みゅみゅみゅ /en. てろてろ
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(V)『第8監房』(1956年 阿部豊) [ヴィデオ]

題名は、逮捕された主人公が収監される警察署の房の名前。軍隊で部下だった男が警官として、留置場の番をしていて、彼の手引きで主人公が一時間だけ房を抜け出すサスペンスがある。
突飛な点はそれだけでなく、ヒロインがしつこくつきまとってくるヤクザを拳銃で撃ち殺してしまうという意外さ。そのあと主人公がどう行動するかが見どころだったが、彼はあっさり逮捕され、女はヤクザたちによって殺されてしまう面白みのない展開。
そもそも、主人公が、軍隊で意地悪な上司を撃ち殺してしまったことをずっと悔いていたり、その上司の奥さんがヒロインという設定自体がよくなかったか。
留置場にいるさまざまな男たちや、捨て子の面倒も含めて、警察署が庶民に親しみやすい雰囲気を醸していたところが見どころか。
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(V)『逢魔の辻』(1938年 瀧澤英輔) [ヴィデオ]

前進座総出演の時代劇で、時は安政の大獄。主人公の青江金五郎は、幕府に務める三沢家の非嫡子だが、父親は彼に家を継がせたかったにもかかわらず、彼は家を出て浪人として暮らしている。彼が行きがかり上、役人を斬ってしまい、島送り--三宅島--となって三年間の務めを終えて戻ってきてから、世の流れ--桜田門外の変が起こる--に巻き込まれていくという話。
水戸藩を始めとする尊王攘夷派を厳しく取り締まる岡っ引きは、何かと主人公を目の仇にしているが、彼とても自らの務めを忠実に全うしている存在。主人公は「ひとりでは暮らしていけない世の中」だと、最後は薩摩藩士とともに京へ上っていく。幕末の世で、皆がそれぞれの本分を尽くしているのが肝。
義兄と岡っ引きが主人公を追いかけるところで、映画が終わり、「江戸の巻」終わりという字幕がでたのは、後半の「京の巻」も予定されていたと思しいが、作られた形跡が見当たらない。
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(V)『色情霊 カノジョノシタタリ』(2019年 門田恭弥) [ヴィデオ]

引っ越したアパートの部屋に女性の幽霊が出て、若い男がその虜になってしまうという、基本的なところはよくある話だが、男三人に犯されて絶望して死んだと思わせておいて、実はそうではない悪い女だったという展開がなるほどと思わせ、面白かった。
女装した川瀬陽太が霊媒師というのが可笑しかったが、なるほど彼ぐらい強そうでないと、戦うことはできなかった。女優陣はもちろんだが、若者三人の配役もよかった。
回想場面を入れるのは無駄ではないかと思ったが、あとの展開を考えると必要だったし、最小限にとどめていたのは、十分考えた末の挿入ということだろう。
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(V)『名もなく貧しく美しく』(1961年 松山善三) [ヴィデオ]

何故、松山監督は、最後に主人公を事故で死なせたのか。斯様な題名の作品であれば、生き続けてこそと思うのだが。
話すことができない夫婦の会話は、字幕で内容が示されるが、背後に鳴る音楽がセリフ代わりに重要な役割を果たす。音楽は林光で、普通の綺麗な管弦楽音楽とは異なる、特徴ある旋律がよい効果を出していた。死のうとした主人公を追って、電車に乗った夫が彼女を見つけ、二人が異なる車両の前と後ろで、ガラス越しに会話する場面が映画の白眉。主人公に冷たい姉と弟の存在もよかった。
昭和30年代前半の、人々の暮らしがよくでていただけに、かえすがえすも、主人公を殺したことで映画が台無しになってしまったのが残念でならない。
成瀬作品の脚本を書いていた縁か、撮影・照明・美術は成瀬組の面々。
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(V)『モリコーネ 映画が愛した音楽家』(2021年 ジュゼッペ・トルナトーレ) [ヴィデオ]

エンニオ・モリコーネが手がけた映画音楽を、本人へのインタヴュウと映画の映像と、多くの人のインタヴュウを交互に見せながら、順番に紹介するドキュメンタリー。手がけた作品について本人に順番に訊いていく本のような内容なので、2時間38分という長尺になり、その中に序破急はないのだが、それぞれの挿話に驚かされながら、最後まで連れていかれる。
作曲を手がける以前はトランペット奏者だったという事実と、作曲を始めてからは、現代音楽のような実験的な音を指向していたというのが、興味深かった。1968年から69年にかけての活躍はすさまじかったことがわかる。
イタリアを拠点にしていたので、題名さえ知らない作品がたくさんあったのと、モリコーネが音楽を担当した作品はあまり見ていないことを認識した。
『ヘイトフルエイト』が初のアカデミー音楽賞受賞作という事実は、ずっと活躍していたのに、B級とみなされていたのだろう。今や、一流の音楽家として正統に評価され、とりわけ若い人たちの尊敬を集めているというのが、映画のまとめ。
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(V)『恋のいばら』(2023年 城定秀夫) [ヴィデオ]

この作品も最後のまとめかたが弱かった。今の彼女と元の彼女が共謀して、男の部屋へ侵入してパソコンの中を見るところまでは、とても面白かった--城定印のメガネ女子が、実は怖いストーカーと思いきや、後をつける対象が、男ではなく女だったという流れ--のだが。
女性二人からの視点で男を描いているので、結局正体がわからないまま終わってしまったのが、中途半端か。
城定監督は、白川和子を演出出来て感無量だったろう。
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(V)『花咲く部屋、昼下がりの蕾』(2019年 城定秀夫) [ヴィデオ]

たくさんの花で埋め尽くされた部屋に、出会い系サイトで知り合った男を連れ込む彼女は何者か。そばで見ている夫らしき人物は、どうやら幻らしいと見ているうちに、二人の間に起きた以前の出来事が語られていくという仕掛け。
城定映画の主人公らしく、最初はメガネをかけていた彼女が、メガネを止めるのは、不能になってしまった夫を喜ばすため、他の男に抱かれることに、彼女自身も快楽を感じるようになったから。
部屋に置かれていたのは、夫が入っている棺桶であることがわかり、そこにキレイな花が咲き乱れていることに慄然とする。
それは彼女の夫に対する愛の深さの象徴であるが、最後、もうひとつダメ押し的な展開が欲しかった。
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