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(V)『逢魔の辻』(1938年 瀧澤英輔) [ヴィデオ]

前進座総出演の時代劇で、時は安政の大獄。主人公の青江金五郎は、幕府に務める三沢家の非嫡子だが、父親は彼に家を継がせたかったにもかかわらず、彼は家を出て浪人として暮らしている。彼が行きがかり上、役人を斬ってしまい、島送り--三宅島--となって三年間の務めを終えて戻ってきてから、世の流れ--桜田門外の変が起こる--に巻き込まれていくという話。
水戸藩を始めとする尊王攘夷派を厳しく取り締まる岡っ引きは、何かと主人公を目の仇にしているが、彼とても自らの務めを忠実に全うしている存在。主人公は「ひとりでは暮らしていけない世の中」だと、最後は薩摩藩士とともに京へ上っていく。幕末の世で、皆がそれぞれの本分を尽くしているのが肝。
義兄と岡っ引きが主人公を追いかけるところで、映画が終わり、「江戸の巻」終わりという字幕がでたのは、後半の「京の巻」も予定されていたと思しいが、作られた形跡が見当たらない。
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