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(B)『海の見える風景』(早川義夫著 文遊社刊) [本]

今月突然、著者の新刊が発売された。帯に「書き下ろしエッセイ」とある。
最初の二編は、内容が同じためか前作で読んだような文章だったが、そのあとあたりから徐々に最近の著者の生活が描かれる。
日々の暮らしのちょっとしたこと、ふと蘇える昔のこと(たいていは苦い思い出だ)。こんな自分を変えたいのだけれど、変えられない哀しさ。それは自慢でも開き直りでもない。
著者が、斯様に外に向けて文章を書こうという気持ちになって来たことを嬉しく思う。「突然、白肌を魅せた大きな富士山が現れた」なんて艶めかしい文章をさりげなく書けてしまう著者はやはり唯一無二。
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