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(CD)『POP LIFE』(豊田道倫) [CD]

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いきなりテープの回転数をあげたようなヴォーカルで始まり驚くが、この新アルバムは弾き語りで、最近ライヴで演ってきた余計なものをそぎ落としたような歌が並ぶ。最初の「言葉はあきた」もライヴで聴いた。「国も全部捨てて 気違いになれたら」というメジャーで発売したら、ピー音がかぶせられてしまう歌詞がさりげなく歌われてしまう。
女性の視点でで歌われる「散歩道」は、「夢なら醒めて」のような名曲で、女性歌手が今後挙ってカヴァーをしそう。そこから「夜のこころ」「プレイボーイブルー」(これも名曲)への流れは、豊田のライヴそのままの雰囲気で、ずっとひと続きになっている気持ちよさがある。二音を繰り返しながら、ベースコードが変わっていく豊田の曲の特徴が極まった感じ。クレジットをみると「プレイボーイブルー」はライヴ録音だが、違和感はなく、続けてスタジオ(自宅?)で録音されたのかと思った。七尾旅人が先日のライヴで、豊田は筒見京平に匹敵すると言っていたことにうなずける。
ささやくようなヴォーカルから、「五反田にて」のような腹の底から声をだすような歌、「まぼろしくん」のギターストロークなど、それぞれの曲が練られているという印象もある。爆音ノイズが10分続く「for you」(これも豊田らしい。)に続けての三曲は、ライヴのアンコールといった趣き。おなじみ「14番ホーム」、昨年の前アルバム発売記念ライヴの音源(久下のドラムが聴ける)「熱海にて」、最後にコーネリアスの「Star Fruits Surf Rider」のカヴァー。コーネリアスとは意外だが、この曲は構成が豊田の歌っぽい。まるで豊田の歌のように、静かに演奏される。

「POP LIFE」というタイトル曲はあるが、このアルバムの各曲は、豊田の生活、人々を見つめる視線から生まれたものだ。
バイト先の女の子のことを歌ったと思われる「まぼろしくん」。「散歩道」のファミリーマートや百均。「ピースミュージック」には、「電車の中にいると 時々周りのの人達の顔が イヤな感じに見える みんな死んでほしいなんて思ったりする」という歌詞がある。「五反田にて」にある「財布の中の一万円札を 崩したくないだけの暮らし」を、「POP LIFE」と呼んでしまうところがカッコいい。そして、その記録を録音してアルバムにして発売することが、生きる証とでもいうようなアルバム。「たった一行だけの詩を誰かにほめられたい それまで何でもいいのだ 虫のように生きる」(プレイボーイブルー)
「かくれんぼ」の歌詞ではないが、このアルバムがあれば「生きていける 働いてゆける ごまかしていける ひとりでも」。
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