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(V)『彼女だけが知っている』(1960年 高橋治) [ヴィデオ]

冒頭に登場人物がロバート・ワイズ監督『拳銃の報酬』のポスターの前で話をする場面があった。あの映画の破滅へ向かっている恍惚感を期待したのだが、確かにノワールの雰囲気はあったおもの、被害者が受けた残酷が傷が映画全体を暗く覆ってしまい、犯人捜しのサスペンスを見せるような内容でもなかった。恋人の刑事が彼女に代わって私怨を晴らすかのように犯人に鉄槌を下すという展開にもならず。
ラストシーン、彼女が警視庁を出る、その後を男が追う、というのは決まった形式ではありながら、かなりの時間追いかけないので、彼女ひとりお堀端の道を一人うつむきながら歩くあとから、全力で男が駆けてくるという演出に現実感がこもっていた。そうか、共同脚本の高橋治と田村孟は作り物のドラマを避けたのだな。
中村八大のジャズバンドによる音楽が映画の雰囲気を洒落たものにしていた。
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