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(V)『ミステリー・トレイン』(1989年 ジム・ジャームッシュ) [ヴィデオ]

メンフィスの町で起こったある一日の挿話を三つ見せるという仕様を、当時は斬新だと喜んだものであったが、その後斯様な語り口は珍しくなくなってしまった。メンフィスやエルヴィス・プレスリーに対する愛に満たされていると思っていた内容も、寂れた町の風景--廃墟となった映画館や銀行がそのままになっている--や、あまり見る価値がなさそうなサン・スタジオなど、ジャームッシュ監督は、過去のものとして現実を醒めた眼で見ているように感じた。
エルヴィスの幽霊は、彼にあこがれてはるばる日本から来た旅行者や町の人の前には現れず、メンフィスにまったく興味がない欧州の人の前だけに登場したり、偶発的に犯罪をおかしてしまい逃げ惑う三人組も、町のただずまいに似て、ただただカッコ悪い。
少年のおもかげを残す永瀬は、そういう役なのかもしれないが、随分硬い。一方、少女のはずの工藤は、大人びていて輝いていた。
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