SSブログ

(V)『台湾人生』(2008年 酒井充子) [ヴィデオ]

映画に登場する台湾の人たちは、皆戦前に学校で日本の教育を受けた世代で、制作年から類推すると70代後半から80代前半だったことになる。彼らを次々と登場させ、インタヴュウ場面や、今の暮らしを見せていくうち、カメラが追っている人たちは五人であることがわかってくる仕掛け。
中には、八千人の台湾少年が連れてこられたという高座海軍工廠で働いた人もいるし、学校の先生を尊敬するあまり、亡くなったあと毎年日本に墓参りに行く人もいる。皆その後、日本と関係なくとも、日本語が話せることが、その時代を生きた証拠となっている。
映画の途中で、二二八記念館の案内をしている人が、強い調子で日本政府の冷遇を非難し、「日本に捨てられた」と述懐する場面は、それまでの並行した描き方によって、他の四人の思いもそこに込められているかのようで、より強い主張となった。
酒井監督は、市井の人の声を記録した素晴らしい仕事をした。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。