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(B)『ボブ・ディラン』(北中正和著 新潮新書) [本]

題名で惹きつけて購買意欲を掻き立てる世の中にあって、副題もないこの単純さは珍しい。
「おわりに」に「ボブ・ディランの音楽についての入門書」とあるように、第三章までは、よく知られる歴史をたどる内容。著者はディランを、さまざまな音楽から「影響を受けたら、それを咀嚼して新しい視点を加えて作り替えることに長けている人」と評価し、彼の歌づくりの基となったブルース、伝承歌などについて丁寧に解説している。中でも、フランク・シナトラの歌を取り上げることとなる背景を説明した第6章が興味深かった。(シナトラとディランが二人で話をしたという逸話は、映画の名場面を見ているかのよう。)
また、著者が実際にディランと対面して取材した挿話を、さりげなく入れて締めとしているのは、なかなかの技。
疫禍の最中のディランの配信や、その後の演奏活動の再開、本の出版についても言及してほしかったところ。
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