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(V)『愛なき女』(1952年 ルイス・ブニュエル) [ヴィデオ]

主人公の夫はかなり年上の骨董屋。気難しい性格であることがすぐわかる。彼に怒られて、息子が家出してしまう。(鍵のかけられた部屋の窓から逃げるのは、『スサーナ』の反復だ。)しかし、すぐ木こりの男に助けられて家に帰って来る。(このあたりの急展開はブニュエルメキシコ作品。)
ここまでが前段で、本筋は木こりと主人公が相思相愛になってしまう話。彼女は夫と子を置いて男とブラジルへ出奔しようとするが、間が悪く夫が倒れてしまい。。(このあたりのままならないすれちがい劇は、日本の恋愛映画の専売特許ではないということだ。)
話はさらに加速して、息子が成人して医者になっている場面へ飛ぶ。突然登場した彼の弟も医大を卒業したところ。そこへ、単身ブラジルへ行った木こりが亡くなって、下の息子にすべての遺産を残すという報が。。見るものは、ここで弟は主人公と木こりの子だと気付くのだが、このあからさまな遺産の遺し方はいかがなものだと思いつつ、真実に気づいた兄が主人公に無言の圧を与える様が描かれる。
能天気な父親と弟に比べ、兄は好きだった女性も弟にとられ、看護師の恋人も去ってしまい、自暴自棄が高じた憂鬱そうな表情は、雰囲気を重くする。しかしながら、兄と弟に向かって、彼女は浮気でなく、本当に彼を愛していたときっぱり宣言するところで、憂鬱な雰囲気が晴れる。
突然亡くなった夫は可哀想だが、横暴だった報いということで、彼女が木こりの写真を飾るのを温かく見守ることにしよう。
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