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(B)『大泉黒石 わが故郷は世界文学』(四方田犬彦著 岩波書店刊) [本]

著者が大泉黒石の評伝をものする話は、以前の著書などで目にしていて、とうとう出たかという感じ。黒石の名前は、もともと著者によって知ったのだが、西村賢太の著書でも目にしたことがあり、どのような人か興味を持っていた。
この本は、黒石の生涯を著書の紹介とともにたどる正統的な形式を取っていて、世間にあまり知られていない人なればそれが有効と言える。とはいえ、黒石の文学の基を、トルストイとトルストイを通じて知った老子に求めるところは著者ならではの視点。
また、副題になっている「コスモポリタン」という点が、著者を惹きつけたとともに、今の世の中なればこそ、再評価され得る人ということになる。
大学院生の研究論文のような内容を、読みやすく、しかも濃い内容にさらっと仕上げてしまう、これも著者の力業。
表紙の黒石の写真は、大泉滉のうら若きころの写真といって通りそうな美男子ぶり。
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