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(B)『いまだ人生を語らず』(四方田犬彦著 白水社刊) [本]

12年前に同じ出版社から出た『人、中年に到る』の続編的内容で、さまざまな主題について、著者の今の心境や考え方を述べる。大学を辞めてから、自らがすべきことを俯瞰的に見ている感がある。また、最後の時を見据えた準備とか心構えも端々に感じられたのは、中年時と違うところ。
出色だったのは「秘密」についての章で、けっして他の人にしゃべってはいけないという点と、秘密が存在していると信じ込み、不毛な探求に生涯を費やしてしまうことがあるという点は、これまで深く考えたことがなかったかので、なるほどと感じ入った。
自伝ではないが、老人指南書と勘違いしない題名は、なかなかうまい。
パゾリーニの本を出し終えた著者は、軽やかな筆致で自分の書きたいものをどんどん書いているようで、今後も新作が続きそうなのが楽しみ。
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