（V）『直撃地獄拳 大逆転』（1974年 石井輝男）

先の郷に、千葉真一、佐藤允というすご腕悪人が主人公。続編だが、おそらく前の部分と二本まとめて撮って、分割公開したのではないか。（やはり、タランティーノの範となっている。）日本国内での闘争に疲れたこの時代、悪を外人にするケースが多いのは国内に敵を求めづらくなったためか。
ここでの郷は、金庫破りの名人だが、トンチキという名のとおりズッコケたことばかりする。佐藤允は、岡本喜八の『独立愚連隊』からそのままやってきたような溌剌とした演技を見せる。主人公三人のそれぞれの持ち味を生かすところは石井監督の手腕だろう。
それにしても、最後の格闘シーンはクンフー映画としてもなかなか凄い。この頃の千葉の身体にキレというのは凄いものがある。
ラストで網走刑務所へ入れられる場面で、囚人としてなんと「鬼寅」アラカン登場。嵐寛寿郎は、石井の網走番外地にしかでていないから、何年ぶりかの出演ということだったろう。このリスペクトの精神が東映の伝統か。