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(CD)『俺たちに明日はない』(頭脳警察) [CD]

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91年の『歓喜の歌』以来18年ぶりの頭脳警察アルバム。しかし、曲作りと録音で2ヶ月もかかっていないだろう。すべて新曲。カヴァー曲と旧曲のリメイクでニューアルバムとした甲斐バンドとは一線を画す。あわてて作ったのではない。18年分蓄えていたものが、短期間で形になったのだ。熟成と瞬発力。
頭脳警察の『CACA』のような前シングル『時代はサーカスの象に乗って』のような重々しさがない。『7』のように、PANTAとトシの演奏にこだわってもいない。それどころか、トシのコンガの音がまったくといっていいほど聴こえない。「死んだら殺すぞ」でわずかに聴こえるが、あとはボーナストラックの「俺たちに明日はない」アーリーヴァージョンの琢己を加えた三人の演奏で聴こえるだけ。陽炎とのPANTAのニューアルバムといった衣装をまとっているが、歌の詞は、頭脳警察だ。「死んだら殺すぞ」の「糞コメンテター/似非ジャーナリスト/自称評論家/おまえらホント目障り」といった歌詞を見よ。PANTAは頭脳警察モードになったとたん、曲が出来るのだろう。
先日のトークで、PANTAは「重信房子を鏡として自分を見てる。二人の立場が逆だったとしても不思議ではなかった。」と発言していたが、それを表現した歌が「UNDERCOVER」だろう。「オレの隣りに奴がいる/おまえの後ろに奴がいる/オレの代わりに奴がいる/おまえの中にオレがいる」
個人的に好きなのは、「BRAINWASH」から「ヒトを喰った話」の流れ。今の日本を「バカ」といい、ツバを吐きかけるだけでなく、それに気づけという賢人の教えも包含する。
「赤の女王」は、タイトルからして重信房子を連想させるが、歌詞はさまざまな言葉で言い換えられ、意味はよくわからない。サビのないメロディーはわざと高揚感を抑えているように聴こえる。つづく「黒の図表」とともに、こういう曲を入れてしまうところが、またPANTAだ。
最後の「残照」は、これまでPANTAが作らなかったタイプの曲。頭脳警察の「サヴァイヴァーズ・バンケット」として聴いた。
スッと聴ける前半に比べて、後半はこれから聴く度にじわじわ沁みてくるのだろう。
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