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(B)『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』(平田オリザ著 講談社現代新書) [本]

「心からわかりあえることを前提とし、最終目標としてコミュニケーションというものを考えるのか、『いやいや人間はわかりあえない。でもわかりあえない人間同士が、どうかして共有できる部分をみつけて、それを広げていくことならできるかもしれない』と考えるか。」
著者がこの本で説明するのは後者の立場であり、そのために著者は演劇を活用して、学校教育を行っていることを紹介する。自分の作品を世に問うだけでなく、自分の方法論を教育に生かしている著者の姿勢に頭が下がる。なるほど、先日の上演は単に自分の作品を海外で上演するということに意味を見出そうというのではなく、日本的なコミュニケーションがどのように受け止められ、またそれを今後どのように生かすかという著者の研究でもあったのだと理解した。あきらめずに説明をすることが大切なことが理解できた。
著者は日本的な言わなくてもわかるというコミュニケーションがダメといっているわけではない。それは文化の違いだからどちらがいいということはないが、成熟した社会となった日本では、今までのままではすまされないと説く。卓見である。
内容とはずれてしまうが、一番心に響いたのは目標をもって進んでいるように見える著者が、「人生は、つらく哀しいことばかりだけど、ときに、このような美しい時間に巡りあえる。」と書く部分。これは著者が参考にしてきた本を書いたプリンストン大学の牧野教授と実際に出会えた場面の感想。
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