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(映画)『家族を想うとき』(2019年 ケン・ローチ) [映画]

十年ほど前のノーザン・ロックの破綻で、持ち家を手放さざるを得なくなって以降、夫婦で働いてなんとか暮らしを建てている家族の話だが、描かれている出来事は日本でも起こっていることで、フランチャイズと称して決められた仕事をやらせ、何の補償もしない雇い主はコンビニ業界と同じだし、ITに管理されて時間厳守の配達業務、訪問介護者にばかり負担をしいる仕組みなど。
夫婦が必死に働いている中で、不良に走る息子にも言い分はあるだろう。その間に入って精神を病んでしまう優等生的な娘。ローチ監督はこのような家族の状況を淡々と描くだけで、助けの手をさしのべない。
主人公が居眠り運転で事故を起こすような安易な展開にならなくてよかったと思っていたら、もっと非道い仕打ちが待っていた。この事故によって、家族の絆が強まったと思わせたのもつかの間、日々は厳しく容赦なく続くというところまで見せる。『ダニエル・ブレイク』では、やけくそな行動に賞賛の声が浴びせられる場面があったが、この映画では、妻が病院で大声を上げても味方する人はひとりもいない。。何という暗い映画だろう。
しっかりものの娘の佇まいと、涼やかな声で話す母親の落ち着いた雰囲気が救い。
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