SSブログ

(V)『英雄の証明』(2021年 アスガー・ファルハディ) [ヴィデオ]

主人公は、借金が返せなくて刑務所の収監されている。自由に外部と通信ができたり、家に帰ることができる日があるなど、イランの刑務所事情がわかって面白い。
その彼が、拾ったカバンを落とし主に返した行為を賞賛されて英雄扱いされる。その余波で就職口が見つかり、借金を返す見込みがつきそうなところで、でっち上げではないかという疑惑が浮かびあがり。。
落とし物を返す行為が注目を集めるところも、イランだからと言えるが、彼の行為がでっち上げだという噂が飛び交うのは、ネット社会は世界共通ということだ。ファルハディ監督は、今作も巧みに今のイラン社会を切り取って見せる。
観客はたしかに落とし主が現れてカバンを受け取って帰ったことを目撃しているが、彼女が本当の落とし主であったか次第に疑いが生じてくる。一方、主人公の方もいろんな場面で話を都合よく歪曲したり、突然暴力的になったりするので、無垢な善人と見えなくなってくる。(イラン人としては標準ということかもしれないが。)
よって、最終的に借金を返す算段もつかず、姉の家族からも白い眼でみられる姿にあまり可哀想という気持ちを催さない。考えてみれば、これはカバンを拾う前の状態に戻っただけで、彼のことを心から愛している女性と、吃音症の息子という二人の味方がいることで十分ではないかと思うのだ。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。