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(B)『君美わしく 戦後日本映画女優讃』(川本三郎著 文春文庫) [本]

子役だった二木てるみを除き、昭和ひと桁かそれ以前に生まれた女優17名のインタヴュー集。
「讃」とあるように、これらの女優の前では著者もただ一人のファンとなり、すばらしかったという話しばかりで、実際に映画に接してしない人には、みんな同じような印象を受けてしまうのではないか。他の女優とは違い、不当な扱いをうけて
映画界を去らなければならなかった前田通子の話が中でも興味深いのはそのせいもある。
インタヴュー以上に各編に付けられている追記に気持ちがこもっている。当時の雑誌に載った批評や対談まであたっているのは、著者ならではの作業だ。
ここまで立派なインタヴュー集だと、ここに収録されて当然といえる岸恵子とか岸田今日子などのインタヴューがなぜないのか、本人たちの意思によるものなのか、というところまで想像が及ぶ。成瀬好きの川本ならば、中北千枝子も加えて欲しかったし。
五社協定だか六社協定で自社の俳優を囲い込む映画会社の強権ぶりはこれまで何度も耳にしているが、各女優の話を聞いていると想像以上にすさまじかったことがわかる。新藤の本でも感じたが、かつて映画産業というのは、大衆に影響力を持っていたがゆえに、その経営陣が国家権力に密接にかかわっていたためだろう。


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