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(映画)『パラサイト 半地下の家族』(2019年 ポン・ジュノ) [映画]

見知らぬ人が家に入り込む話は『ボーグマン』にもあった。『魔太郎がくる!!』の、見知らぬ家族が一人ずつ魔太郎の家に入りこんで、一家を追い出してしまおうという挿話も思い出した。
前半は、主人公一家が一人ずつ入り込む経緯の面白さで魅せる。息子が鉄の自動扉を入った瞬間からそれは始まり、妹、父、母の順番でその家に雇われるまでが、流れるように進む。不似合いだが、流麗なピアノ曲に乗って。
四人が留守の間、思うままくつろぐまでの喜劇的な雰囲気が後半一変する。三人がずぶ濡れになって家まで歩いて帰るところを写した場面が、その境目となる。(そのあとの家じゅう水浸し場面は、作り物のような気がしなかった。)
主人公一家と元家政婦夫婦は、本来手を携えるべきだったと思うが、そうはならない。互いのエゴが不幸を招いたとも見えるがそう単純な話でもない。ひとり貧乏な人たちを思いやる気持ちのあった妹が、家族の中でただ一人死んでしまうではないか。。
庭での誕生会の場面、地下室住人の臭いに顔をしかめた瞬間、貧乏人の刃が金持ちの主人に向けられたのは当然だ。ポン・ジュノ監督は、得意のスローモーションを駆使し、恐怖の場と化す一部始終をたっぷり見せる。
地下生活者は、永遠にそこから出られないという結末で締めくくられるが、唯一主人公一家と現実的な結びつきがあった、金持ちの娘がどうなったか描いてほしかった。2時間超の作品ではあるが、いろんな挿話をそぎ落として性急にまとめた印象があった。本来もっと長かったのではないか。
地下室へ降りる階段は、『下女』、『火女』が念頭にあったか。
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