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(V)『津軽じょんがら節』(1973年 斉藤耕一) [ヴィデオ]

瞽女の話かと思っていたら、そうではなかった。
敵対する組の親分を勝手に殺したため、双方から命を狙われている若いヤクザと女が、女の故郷である津軽に逃げて来て、そこで暮らし始める。
荒涼とした風景の中に置かれた二人を、荒い波の海の風景、時折背後に流れる津軽三味線の歌が、さらに強調する。その風景に押しつぶされまいと、男はずっと背広姿で生活している。
注目すべきは、説明的な回想場面が一切ないところ。そして、津軽という場所からカメラが一歩も外へでないことで、もうひとつの主役である風景の印象を強烈なものにする。
男が最後に追ってきた者らに殺されてしまうだろうことは予測がついたが、この場面処理もいたって簡潔に済ませているところが逆に余韻を残す。
津軽ということで、「やさぐろ節」がアカペラで流れた。男たちがバスに乗って出稼ぎに出発する場面は、先日見た『奇跡の海』と通じるものがあった。
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