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(V)『夜をぶっとばせ Blow The Night!』(1983年 曽根中生) [ヴィデオ]

この映画は、公開時文芸坐のオールナイト上映会で見た。当時、可愛かずみの人気が盛り上がっていて上映会も彼女が主役扱い。
公開日は、ザ・ストリート・スライダーズのデビュウレコード発売と一緒で、休憩時間にはスライダースのレコードがかかっていたが、「リトル・ストーンズ」などという惹句に、あまり魅力を感じなかった。私がスライダーズに目覚めるまでには、あと三年ほど『天使たち』の発売まで待たなければならない。
この映画は、そのスライダーズの新宿ACBのライヴ映像から始まる。カメラはハリーばかりを写しているが、皆若々しい。客席にはたくさん人が居て、すでに人気があったことがわかる。この時ライヴを撮影したフィルムは残っていないのだろうか。劇中では、ライヴ演奏していた「マスター・ベーション」を始め、ファーストアルバムの「すれちがい」「のら犬にさえなれない」「Let It Roll」「Downtown Sally」そして映画の題名の「Blow The Night」がかかっていた。
当時映画を見た感想としては、並行して描かれる田舎と東京の場面が交錯しないことが不思議だったのと、可愛かずみにまったく見せ場がなかったということで、映画の内容は、ラストの歌舞伎町での主人公のストップモーションしか記憶に残っていなかった。
今回見直して、改めて舞台となっている田舎は、曾根監督の故郷である群馬の前橋だったことに気づいた。
中学三年の主人公は、髪を染め、パーマをかけ、制服のスカートを思いきり長くして、シンナーを吸って、暴走族の仲間にも入っているという中学生にしてこれ以上の不良はいないという少女。授業中に騒いだり、先生に暴力をふるったり、教室のものを壊すといういわゆる学級崩壊の様子を、ここまで描いた映画は、これが初めてだろうし、そのあともあまりないのではないか。(中学で古文の授業をやっているのが変だったが。)
曾根監督は、しろうとが多い役者陣に地のまま演じることを求めたのか、多くの場面の引き気味の長回しで撮っていた。
主人公は現状のなかで足掻いている一方、中学一年の妹は、好奇心から姉の友達のバイクに乗せてもらったり、ひとりで歌舞伎町へ遊びにいってしまう。そこで、東京編として登場する学校をさぼって町を徘徊する少女とその仲間に出遭うのだが、乗った車が海に落ちて浮かんでこないというのはちょっと可哀相すぎる。
卒業式を終え歌舞伎町に出てきたものの、主人公はここで自分を解放できるものを見つけられるだろうか。
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