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(B)『路上の映像論――うた・近代・辺境』(西世賢寿著 現代書館刊) [本]

著者は元NHKで、この本は、ディレクターとして手掛けたドキュメンタリーの内容を再現したものとも言えるが、文章で再訪したと言う方が適切だろう。
著者のことは知らなかったし、もちろん番組も見たことがない。しかしながら、その題名はことごとく我が琴線を刺激するものばかり。中でも「全編五時間二〇分に及ぶ」という中里介山の『大菩薩峠』についてのドキュメンタリーは、是非見てみたい。(今回も橋本本で『大菩薩峠』について読んだばかりという偶然)
また、この本には「辺界に響くうた」と題されたCDが附属されていて、文章中に出てくるさまざまな民謡が収録されていて、実際に音が聴けるという仕掛けとなっている。多くは正式にレコーディングされたものではなく、ライヴ収録された貴重なものが多く、なかでも、石垣とぅばらーま大会の一般人の歌と演奏や、里国隆が街角で演奏したものを録った音源に感銘を受けた。
最後の二人の詩人についての文章も、特に金時鐘(キム・シジョン)については興味深かったが、「うた」という切り口からは、若干離れてしまっている感があった。
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