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(V)『男の花道』(1956年 冬島泰三) [ヴィデオ]

昭和16年のマキノ作品の再映画化。小国脚本を原作と謳っている。重要な役ながら女形歌右衛門にあまり出番がない--歌舞伎の舞台の様子はしっかり見せている--ので、仙太というスリとの二役にしたようだが、マキノ作品もそうなっているのだろうか。
歌右衛門の失明の危機を救う医者の、金や名誉に興味がないとぼけた性格という造形がよい。(演ずるは伴淳)彼が、傍若無人な家老から踊りを強要されたことが、命を賭ける話に発展するのは唐突だが、期限までに歌右衛門が来ない場合は腹を切るという「走れメロス」状態となって、話が緊迫する。
スリが武家のご落胤だったという挿話もあるが、そちらはあまり盛り上がらず、芸道を極めんとする役者と、信念を貫く名医こそ男の鑑、という趣旨を笑いを織り交ぜながら見せてくれる。
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