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(V)『おらおらでひとりいぐも』(2020年 沖田修一) [ヴィデオ]

主人公である老女の孤独な暮らしぶり--友だちなし--をひとり語りの体裁で見せて二時間超飽きさせない沖田監督の剛腕。
妄想の話し相手を画面に登場させるのは珍しくないが、男三人にしたのが秀逸。ひとりでは会話が内省的になったり、その存在にもっと意味合いが生じてしまうが、三人ならばその他大勢の子分のような位置づけとなって笑い飛ばせる。頭の中の思考がしっかり映像化されていた。
彼女が夫に墓参りに行くのにバスを使わず山歩きをする挿話は、もっと映画のクライマックス的に妄想が極まるという形で盛り上げてほしかった。また、彼女の家の茶の間がそのまま妄想の舞台となるセットも力が入っていたが、ねずみが天井裏を走る茶の間の古びた感じと、最近の家のような外観がどうも合っていないように感じたし、そもそも主人公はもっと年寄りの人--飯田蝶子のような役者--が演じたほうががよかったのでは。
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