SSブログ

(V)『鍵のある風景 Eカップ豊熟』(1989年 佐藤俊喜) [ヴィデオ]

『Eカップ本番Ⅱ 豊熟』
サトウトシキ監督も脚本の小林政広もまだ別の名前だった時代の作品。
夫は妻を愛している。結婚する前、男は、女が会社の同僚に強姦されている場に遭遇したものの、二人は結婚する。結婚後もその事件は二人に暗い影をもたらし、妻は夫が同情して結婚してくれたと思い、夫は妻に遠慮している。
妻が若い男と浮気しているというのはありきたりだが、夫の方は以前妻が暮らしていたアパートの鍵をまだ持っていて、別の人が住んでいるその部屋へ忍び込むという展開は斬新。その部屋で起こった過去の出来事が語られるのは、単なる回想ではなく、男が次第に現実と過去の区別がつかなくなっていく様子を見せるのに必要な場面。
二人が心の傷を克服して、新たに出直すというよくある展開にはならず、妻は若い男と駆け落ちし、夫は精神が錯乱したまま団地の部屋から飛び降りるという崩壊の図式。
それを淡々と見せるサトウ、小林の二人の資質は、すでにこの作品に備わっている。
nice!(0)  コメント(0)