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(V)『警視庁物語 行方不明』(1964年 小西通雄) [ヴィデオ]

皮製造会社の社長が警視庁の課長と知り合いだからといって、行方不明の社員二人を探す捜査に、捜査一課が乗り出すのはあり得ないだろう。。
捜査によって、二人のうち一方が他方を殺して逃げたという線が濃厚となってくるが、この話の肝は死体がなかなか発見されないところ。(皮を作るときに使う硫酸タンクの中に投げ込まれていた。)
捜査の過程から、犯人の男は自分の経歴詐称がバレて同僚を殺してしまった非道い奴に見えるが、蓋を開けてみれば、不可抗力の殺人だったことや、身を寄せていた会社の女性とは深い関係ではなかったなど、自分勝手というより、実は弱い男だったことがわかってくる。
最後は女と待ち合わせた浅草での捕り物となるが、犯人はデパートの屋上から飛び降りてしまうという、警視庁物語には珍しい展開。彼の反省の言葉を聞く機会もなく、7人の刑事たちのやるせない思いが最後のロング画面に滲み出ていた。
8年24作にわたった「警視庁物語」もこの作品で終了。刑事の顔ぶれに若干出入りはあったものの、脚本をすべて長谷川公之が担当していることもあってか、特定の刑事を主人公とすることなく、彼ら全員が丹念に捜査を進めていく様子を活写するという基本路線が一貫しているのが、続き物としてよくできていた。
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