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(映画)『死んでもいい関係』(1990年 キム・ギヨン) [映画]

夫に自分に対する愛情が感じられないので殺したいと思っている中年女。夫の浮気相手に怨みを持つ若い女。この二人が交換殺人する話だが、二人を手っ取り早く知り合いにするための、冒頭からのやや強引な展開に驚いているうちに、若い夫の浮気相手の女が交通事故で死に、中年女が若い女に、早く夫を殺せ、と迫る『見知らぬ乗客』のような流れ。
怖いサスペンスにもできたと思うが、喜劇にしたところがよかった。キム・ギヨン作品は、強烈な描写が笑いを誘うことがあるが、晩年になって開き直り肩の力を抜いてこんな作品を作ったのだろうか。
浮気した罰に、目玉をくり抜かれたと思ったら、ブタの目玉だったというのは可笑しかった。(冷蔵庫に目のないブタの頭が入っているところまで見せる!)また、若い夫婦の部屋や、ホテルの壁に馬の絵がかかっていて、男が女に挑んでいくと、馬のいななきが聴こえてくるというのも。
若い女は、最後は開き直って、着飾って男を誘惑するが、その際のコブラの毒や、手に付けた鈴などの小道具がウケた。中年夫婦の方は二人とも死に、若い夫婦は縒りを戻すという極端というか非情な結末もキム監督らしい。
『火女 '82』にも、胎児の映像が登場したが、子孫、血という主題も、キム監督が探求したかったことのようだ。
60年代の作品から、音楽はみなハン・ソンギという人が担当しているが、それぞれオーケストラだったり、シンセサイザーを使った80年代風音楽、そしてこの作品はジャズと映画によって趣向が全く異なっていて、流行の音を取り入れているという感じがした。
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