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(映画)『親分(ボス)を倒せ』(1963年 石井輝男) [映画]

石井監督単独脚本の本作は、思いっきりハードボイルド。主人公はヤクザだが、黒い--白黒映画なので色がわからず--カンカン帽とカブトムシ車という探偵の意匠。
彼は何度も、自分は世の中のクズだとか、お前も同類とか言って、自分をやり直しのきかないはみ出し者のように規定する。拳銃の使い手らしいが、日活アクションのようにそこを強調するとハードボイルドにならないと考えたのか、主人公が拳銃さばきを見せる場面はない。(弟を殴ったり、殺した殺し屋たちを自らの手で復讐することはない。)一番の見どころは、ボスの家で一番偉いボスに突如逆らって、用心棒と殴り合いをする場面。相手の腕をへし折るまで闘い、酔っぱらった女のフラメンコ踊りで締めるまで、延々と続く。
「弟に手をだしたら只じゃおかねえ」と啖呵をきったが、あっさり弟が殺されてしまう。ここも殺される場面は一切見せないのに、解剖室と棺桶の中の死体は見せるという安っぽいアクションはできるだけ排除しているようだった。
なので、最後も悪い奴を退治して終わりではなく、深手を負って弟の女にやさしい言葉を残して幕。これぞ固茹で卵。
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