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(V)『安藤組外伝 人斬り舎弟』(1974年 中島貞夫) [ヴィデオ]

本人を演じる安藤昇--二十代もそのまま演じている!--の話を基に花形敬を主人公としたこの映画は、安藤以外が仮名であっても、映画版『疵』より事実に即している。主人公の造形も冒頭の学生時代の喧嘩場面から、理由もなく若い衆を殴り倒すところが実際の花形像を意識している。(さすがに180センチ超で主役を演じられる役者はいなかったか。)
兄弟分を演じる梅宮が、主人公に負けず劣らず強かったので、話に厚みが出た。彼が主人公をやる相談をする場面では、溶接工事の火花だけが明かりという手の込んだ演出。中島監督にしては珍しく東京撮影所の作品だが、手持ちカメラを多用しているところには『仁義なき戦い』の影響も。
最後は、安藤が組を解散することを決断するところで終わるが、本人は黙ったまま、字幕がかぶさるのも味があった。
出番は少なかったが、日活から連れてきた片桐夕子を立てるため、やはりロマンスが取り入れられる。ロマンポルノの人気に乗じて連れてきたのだろうが、たしかにふさわしい配役だった。
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