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(V)『その男を逃すな』(1951年 ジョン・ベリー) [ヴィデオ]

主人公が、プールで出会った娘のアパートに身を潜めることになったのは、何となくの流れ。翌朝は出ていこうと思っていたものの、警察の厳重警戒と自分の母親の冷たい対応で逃げそびれてしまう。主人公に娘やその家族に迷惑をかけるつもりはなく、父親と娘を普段どおり働きにいかせたりと結構緩い。
家族を第一に考える父親の行動や、主人公に惹かれていく娘、悪人にあこがれる幼い弟といったように、各人の性格が話にアヤをつける。彼がふるまった七面鳥を父親が食べないという緊張感あふれる場面は面白かった。
決して万事休したわけではないのに、なぜ主人公にとって最悪の結果が待っていたのか。それは、彼が人を信じられなかったからだろう。おそらく、描かれていない母親との関係といった育ちに起因すると思われ、主人公への同情の念が沸き起こる。
この作品は、ジョン・ガーフィールドの遺作となってしまったようで、その脚本がトランボというのも何かの縁。
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