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(V)『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(2015年 ジェイ・ローチ) [ヴィデオ]

ダルトン・トランボを描くとなると、ハリウッドの汚点に言及することになるため、大会社では企画しづらいのだろう、小会社の製作のようだ。
それでも、この映画で描かれていない部分は気になり、ジョン・ウェインなど俳優は出てきても--一番強烈なのはヘダ・ホッパというおばさんだったが--共産主義者を指弾した製作者や監督が登場しないのは、遠慮があったのか。
その中で、エドワード・G・ロビンソンが重要な役回りで、集めていた絵を売ってまで陰でトランボたちを援助しながら、公聴会で名前を挙げたのは俳優としての仕事を得るためだったという弁明は、逆に人間味があった。「脚本家は名を隠せるが、役者は顔を隠せない」
生活の糧を得るため、安い脚本料で名前を隠して書きまくるトランボ、それを利用しつつ援護もするキング兄弟--怒って破壊した額縁に飾ってあったのは『拳銃魔』のポスター--と本業のかたわら映画の主眼は、トランボの家族にあって、老成した雰囲気のトランボ、明るく支える妻、聡明な娘を演じる俳優たちが、狙い以上の効果を上げていた。
家族に支えられながら自らの意思を貫き通し、最後に賞賛されるという米国人好みの話。
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