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(V)『あやめ笠 喧嘩街道』(1960年 加藤泰) [ヴィデオ]

男を磨くため、旅がらすとして諸国を旅している主人公。ヤクザの喧嘩を円く収めて、旅に出た道中で、スリと仇討ちを探している武家の娘と知り合う。彼女の仇は、先にヤクザの喧嘩で相手方の用心棒をしていた男だった。ということで、舞台が最初の場所へ戻る。
仇のはずの男は、実は娘の父親を殺しておらず、助太刀をすると付いてきた男たちが藩を乗っ取ろうと画策したことだった、、という話。
当然、主人公が再びそれを円く収める流れだが、主人公は、駆け出しの頭に血が上りやすい体質で、さらには惚れた娘に失恋した衝撃で、酒を呑んで大暴れしてしまい、なかなか彼女を助けにいかないところが面白かった。隙をみては、すぐ金をだましとろうスリ--渡辺篤--が、これまた絶妙。
冒頭、主人公の股下から対峙する相手を捉える、低い位置から撮った画面があった!
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(V)『さよなら くちびる』(2019年 塩田明彦) [ヴィデオ]

一人の男と二人の女の三角関係を見事に描いている。普通であれば、二人の女性が一人の男を好きになって、という関係になりそうだが、この場合は矢印はそれぞれ違う方向を向いていて、三角形の中でぐるぐる廻るだけ。誰にも流れは変えられない。
その関係に終止符を打つための、最後の全国ツアーという設定がまた良い。浜松、四日市、新潟といった町のライヴハウスの様子が大いなる見どころ。関係がボロボロになっていながら、歌うと息が合った演奏を見せるところに、プロはこういうものかと嘆息してしまった。
場所は移動するが、三人の話なので、会話場面の撮り方--歩きながら話す場面を正面から撮る--がいろいろ工夫されていたのと、三人の誰かが突出してしまわないように、ひとりずつを写す時間配分を計算していたように思えた。
三人の関係を見せ、それがまだ終わらないという結末も含めとてもよくできた映画で、塩田監督の復活も嬉しかったが、交わされる音楽界についての会話が紋切り型のように感じてしまった。二人の歌は見事だったけれど--映画の題名曲より「誰にだって訳がある」という歌の方がよかった--、逆に三人があまりに整いすぎていて、本物の音楽家にやらせたらどうだったろうという思いが残った。
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(B)『人の世界』(丸山健二著 田畑書店刊) [本]

『われは何処に』と『風を見たかい?』の再録本かと思ったら、例によって書き直していた。
書き直しは内容より形式で、一頁、35字×15行に『われは何処に』は各挿話を収め、『風を見たかい』は、ひと段落としている。特に後者は、頁を最大限使っている場合もあれば、一行、二行のときもあり、それが物語に緩急をつけている。
先日の講演会で著者は、文学とは「人の世界を描くこと」と言っていたが、それを堂々と題名に冠して、前者はさまざまな人物の描写を集め、後者はひとりの若者が各章ごとに異なる心持ちを持つ様を描いている。
後者で、出奔した田舎へ戻る章があるが、母親の暮らしを家の外からこっそり覗き見る場面は、北町寛多に通じるものを感じてしまった。ここから最後までの三章が、若者らしいというか人間らしく、今回読んでこの主人公がとても好きになってしまった。
文庫本の大きさで小型辞書のような装幀が手になじんで、好もしい。
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(配信)浜田真理子 Live Stream Vol.1(04/17/2020) [配信ライヴ]

浜田は少し前から、自分のライヴ映像を一曲ずつ公開してきたようだが、今回、ライヴの中止が続く中で、30分程度のライヴをこれから毎月、一年間配信するという。その一回目。
明るいスタジオにある電子ピアノに座った浜田の白いTシャツには墨書のような大きい「出雲」の文字。雰囲気も何もあったものではない。気軽さを強調した演出なのだろうか。
しかし、弾き語りの歌が始まると、ライヴ会場で聴く浜田の演奏と寸分変わりない。最初の曲は、なんと「港の見える丘」。私が浜田を知ったきっかけとなったこの曲をライヴで聴くのを切望していたのだが、これまでなかなか縁がなかった曲。いきなり堪能した。
一曲ごとにMCをはさみながら、約40分で6曲。残りの曲はすべて自分の曲で、すべて2枚目から4枚目のアルバムの中から選ばれており、今日は初期の懐かしい曲、と決めていたようだ。
単独カメラではなく、基本二台のカメラで撮っていて、加えて防犯カメラから撮ったような俯瞰アングルもときどき挟まった。それらを操作するスタッフが外野でわさわさしていたせいか、最後の名曲「あなたへ」で、浜田が珍しくふきだしてしまう場面があった。。次回は、もう少しスタジオの照明を暗くしてもらったほうが。。。
投げ銭をして、次回を待ちたい。

終わったあとにかかっていた聞いたことがない歌は、今年の全国植樹祭しまね2020のテーマソングとして昨年録音した「Home」という曲だった。ラテンアレンジと軽快なとてもいい曲で、ぜひ音源化してほしい。(植樹祭は来年に延期されたそうで、歌の寿命も延びた。。)

1. 港が見える丘 2. ひそやかなうた 3. かなしみ 4. 爪紅のワルツ 5. 恋ごごろ 6. あなたへ
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(V)『最後に笑う男』(1949年 安田公義) [ヴィデオ]

題名からは予想もつかなかったが、サーカスを舞台とした恋愛話だった。大映京都作品なので、大阪が舞台となったのかもしれないが、サーカス団--タカタマサーカスとあった--の見世物より、京マチ子を中心とした松竹歌劇団の踊りに眼を奪われた。(その横で、菅原都々子が歌を披露する。)
かつて高名な空中ブランコ乗りであった主人公--今はピエロをしている--が、自分の元から逃げた女とその夫の三人でブランコ演技をする場面がクライマックスで、ドキドキしながら見た。
辞めたブランコに再び乗るまでの葛藤がドラマとなるが、さすが美術陣が頑張っていて、主人公と女が再開する場面、夜鉄道が高架を走る場所に居る二人に哀愁が滲み出ていた。
目隠しブランコに成功して、お互いを称え合い、主人公は女の夫に対する愛を認めるいう結末は、少々短絡的ではあったが、松竹歌劇団の踊りが最後を明るく締めてくれた。
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(V)『赤い谷間の決闘』(1965年 舛田利雄) [ヴィデオ]

北海道の石切り場が舞台という、設定からして骨太。稼いだ金を費消する町の酒場は、西部劇に出てくるような場所で、俯瞰で広い空間に集う人たちを捉える画面に舛田監督の力量を見た。
そこを舞台に、東京から自分が産まれた石切り場を見に来た学生役の渡哲也は、最初から最後まで殴られどおし。それも敵だけでなく、味方からも。(冒頭、水たまりに倒れて服が汚れたのに、次の場面では汚れていなかった。。)最後など、怪我をするぐらいやられたのに、元気に討ち入りにも参加する。恋愛を後景に押しやって、彼の成長物語となった。
成沢昌成が日活作品の脚本を書くのは珍しいが、展開は日活アクションお馴染みの流れで、「潤色 舛田利雄」というところがミソなのだろう。
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(V)『新宿の肌』(1968年 斉村和彦) [ヴィデオ]

この時代の新宿の風俗を描く映画。ロマンチカ劇場というストリップ小屋と、ゴーゴー喫茶が舞台。背後に流れるグループサウンズ的音楽--音楽が鳴っている場面が多く、うるさかった--も含め、サイケデリックが強調されていた。
飲食店で働いていた娘が、ある事件のせいで、ストリップの踊り子になって、人気を博するようになるという話。彼女の周りに居る人たち--ハイミナール好きのカメラマン(鈴木やすし)、シンナーを吸ってゴロをまいているフーテン--が、彼女を翻弄し、母親を始めとする周囲の大人たちが彼女を売り出そうとする。
ストリップ劇場とゴーゴークラブの当時の様子がよくわかって興味深かった。主人公が有名になって性格が変わったというのでなく、照明係の若者を思う気持ちに変わりないところが、当時の普通の娘的感じがしてよかった。けれども、踊り子としてはもう少し肝心なところを見せてほしかった。フーテンがヤクザを刺したり、刺されたりの場面ではなぜか「新宿そだち」がずっと鳴っていたが、これは異化効果?
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(V)『痴漢電車 聖子のお尻』(1985年 滝田洋二郎) [ヴィデオ]

「コシヒカリ」に毒を入れたとおどかす「かい人二十面相」という時事ネタ。それを見て「ササニシキ」の農協会長とミスササニシキは喜ぶが、自分のところにも一億円の身代金要求が来た。お金の受け渡しは、『天国と地獄』で、電車に乗って多摩川の鉄橋を渡っている最中に、一億円が入った米俵を落とすというもの。本作はいつものJRではなく、小田急線を使っていたのが特徴。いずれにせよ、実際の電車内での撮影は大胆で驚く。
さて、容疑者を探しあてたところ、男は密室で殺されていた。この仕掛けは『下着検札』と同じ糸を使ったものだったが、さらに複雑になっていて、鍵を引き出しの中に入れるという技まで見せてくれた。(種明かし場面ではやはり「ボレロ」が流れていた。)
警察の取り調べ場面の写し方が変わっていて、刑事の見た目の映像かと思ったら、皆が据え置いたカメラに向かってしゃべっているという斬新な形式。探偵ではなかったが、チンドン屋が犯人を探し当てて幕。電車の中をチンドン屋が練り歩く場面も、ゲリラ撮影か?
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(V)『痴漢電車 極秘本番』(1984年 滝田洋二郎) [ヴィデオ]

『ちんちん発車』でめでたく結婚した二人が、本作では、猿飛佐助と服部半蔵の手下かげろうという設定。冒頭、木に飛び移りながらの二人の忍者合戦は、なかなか本格的で吃驚。
慶長20年、大坂夏の陣直前の時代から、時空を飛び超えて現代へ。(なぜ場所も大阪から山手線の中へ)佐助は、電車で痴漢をして知り合った娘の家に居候。一方、女忍者が逃げ込んだのは三浦屋というトルコ風呂で、なぜかそこで働きだす。
居候先の娘が、東大で歴史を勉強している秀才--加えて服部半蔵の子孫--だったため、真田幸村の暗号を解いて豊臣家の財宝を探すことに成功する。女忍者の方は、電車の中で痴漢されて知り合った霧隠万蔵--池島ゆたか--に誘われて、歌手として売り出すことになる。(服部半蔵の子孫も誘われて二人で、「お忍びシスターズ」となる。)
財宝を狙っていた万蔵を倒して、佐助とお忍びシスターズは財宝を探しあてたが、そこでなぜかまた時空を飛び超えて、結局豊臣の財宝は、男色していた徳川家康のものになったとさ。忍者が現代に来て生活すると面白さと、登場人物の設定がうまく作られていて、とても楽しめた。
この作品は忍者が出てくるせいか、暗い中での絡み場面が多いという工夫も見られた。
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(V)『痴漢電車 ちんちん発車』(1984年 滝田洋二郎) [ヴィデオ]

探偵と助手の設定はそのままで、今回探偵は、余命間もない資産家から娘を探してほしいと言われる。一方助手は、故郷の新潟--田中角栄のネタを入れるための設定--から上京する婚約者を追い払うため、疑似結婚相手を探している最中、偶然資産家の息子である音楽家--久保チン--と知り合う。電車は、探偵がダイアモンドの差し歯をしている娘を探すところで登場。
しかし、その娘は、「ロス疑惑」を模した事件で、夫に殺されてしまうというまたも時事ネタを取り入れている。娘の夫だった男「ニウラヨシカズ」は、音楽家も殺して三十億円の遺産を独り占めしようとするが、なんと資産家が亡くなるより前に娘が死んでいたので、権利はないということになり、一方、音楽家が籍を入れていたため探偵の助手が相続人になっていた!というオイシイ話。
助手は、トラクターで東京へやってきた田舎の婚約者を袖にして、探偵と結婚して世界旅行をして暮らしましたというハッピイエンド。
場面を切り替えながらこれだけの話を見せながらも、ベッドシーンはしっかりあるという文句のつけようのなさ。新東宝の探偵ものは、この連作が元だろうか。
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