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(V)『囁きのジョー』(1967年 斉藤耕一) [ヴィデオ]

主人公の行動を追う白黒画面や語り口が『月曜日のユカ』を思い出させたが、件の映画は斉藤耕一が脚本を担当していたのだった。斉藤監督はこの作品では、脚本、撮影だけでなく、世良譲とともに音楽まで手掛けて、その世界観を展開している。音楽は4ビートということになるが--ナベサダが演奏場面でフルートを吹いていた--「ブラジルへ行きたい」というジョーの夢にひっかけて、ボサノヴァ調だった。
主人公のジョーが鼻持ちならないと感じた場合、この映画に乗れなくなってしまうが、朝、六本木の町から神宮外苑を歩く様、なぜか拳銃で男を殺してしまい--広い国立競技場が舞台になっているところが超現実的--浮浪者とともに逃げる様子、そこに在るものを見つめだけで、彼の行動原理などわからないままでいいのだ。
もうひとつ特筆すべきは、麻生れい子。『やくざの横顔』より前なので、チョイ役かと思っていたら、立派なヒロイン役で、白黒画面の中で美しさが際立っていた。セリフ回しは問題ありそうだったが、セリフが多くないため逆に謎の女の雰囲気が出ていた。
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